オリエントスター クラシック レトログラード WZ0011DE

10年くらい使っていた swatch の Poisson Rouge がいよいよ動かなくなってきたので、新しく時計を買ってきました。
まあ、まったくメンテもしないで使ってきたから、仕方ないですね。
ガラスもボロボロだし、バンドも違うものになってるし。
オーバーホールすればまだ使えると思うけど……どうしようかな。
いくらなんでも捨てたりはしませんが。

とりあえず手元に置いといて、気が向いたらオーバーホールに出そう。
今までありがとう。

そういえば、もう売ってないんですね、Poisson Rouge。何だか感慨深いです。
高校生の頃に買ってから、風呂に入るときと寝るとき以外はずっと付けてたからなあ。
おかげで機械式時計の可愛さに気がつきましたよ。
音や秒針の進み方、ときどき時刻合わせしないとどんどんずれてくところとか。

使い古した "swatch Poisson Rouge"

今日買ってきたのはオリエントの ORIENT STAR Retrograde って時計です。
サイトは以下からどうぞ。

曜日表示にレトログラード機構が採用されてます。かわいい。
レトログラードってのは……

時間・分・秒・月・日・曜日などの表示を、針の扇状に動作によって表示する機能。決められた一定の時を経過すると、針が瞬時にスタート地点に戻り、再び表示を開始する。レトログラードとは「逆戻り」の意味。

実は、店で実物を見るまではセイコーの メカニカル SARC009 を買おうと思ってたんですよね。
店でも2つを並べて10分くらい悩んでましたw
正直なところ、見た目はセイコーの SARC009 の方が好き。
あの洗練されたデザインは素晴らしい。惚れそう。

それでもレトログラードが使われているという魅力に負けました。
セイコーもレトログラードの時計出してますが、手が届かないです。
というか、他のブランドのもそう。

それがちょっとの節約で買える金額で、しかも新作。
メーカーも国内で歴史あるオリエント。
これが選んだ理由。

セイコーは次に時計を買うことになったら第一候補。
そのときにはもっと金を持っているといいな。

帰ってきてケース開けたら、ゼンマイ巻かれてて、時刻合わせもされてました。
店員さんありがとう。
でも自分でもやってみたいから(手巻きもできる)竜頭を回してみました。
……ああ、いいなあ、この感じ。

とかニヤニヤしながらゼンマイ巻いたあと、写真を撮ってみました。

WZ0011DE 正面から
WZ0011DE 斜め横正面から
WZ0011DE 裏から
WZ0011DE 自動巻き上げ機に入れてみた

4番目のは一緒に買ってきた自動巻き上げ機の中に入れて撮りました。
いい時計だし、長く使いたいですね。

「たてきない」ってどういう意味?

買ってきた「壊れた少女を拾ったので」。
全部読みましたが、気になることがあるので感想は後日に。

気になることというのは、タイトルにもある通り、「たてきない」という単語の意味。
表題作の「壊れた少女を拾ったので」という短編に頻出します。
初めて目にした言葉なので、とても混乱しました。
しかし日本語には違いない。文脈から推測すればいいと考えた結果、何となく感覚は分かった……と思います……。

けど、やっぱり気になる。
推測した意味は当たっているはずだけど、ちゃんとした意味を知りたい。
分からなければ調べるまで。図書館に行く時間はないからネットを活用することにしました。

その前に、どういう状況で出てくる単語なのか確認しておきます。

使用されている場面と、その引用文

以下の引用文の強調はこちらで行ったものです。

最初に出てくるのが、夢の中に出てくるネバ虫どもがうっとおしいので殺虫剤を部屋中に撒き、自分の体も消毒するために殺虫剤を点眼した場面。

ああ、でもおねえさま、それは間違いでした。おねえさまのおっしゃる通りのうつけものでした。ほんとうに、たてきないです。夢を見るのは目ではないのですよね。

ここから頻繁に出てくるのですが、特徴的なものを挙げていきます。

無駄口ばかりたたいてしまって、ほんとうにたてきないたてきなくてたてきなくて、ばかなわたくしです。どうぞお許しくださいましね、おねえさま。

下の「毒の水」は語り手にとっては憧れや尊敬の対象。

自分の声が、あのときの、きれいに済みきった毒の水を思い出させたのです。(中略)おねえさま、ごめんなさい。わたくしの声などにそんなたとえを持ち出すなんて、たてきないことでした。

「おねえさま」の問いかけへの返事が気に入ってもらえず、叱責を受ける場面。

すみません、すみません。たてきないことを申してすみません。

レンチを投げつけられて気を失い、頭を七針縫ったことを思い出す場面。

大した怪我ではありませんでした。たてきないわたくしが受ける罰としてはまだまだ軽いものだったといえるでしょう。

検索した結果とその感想

ネットで調べてみて、最初に出てきたのはこれ。

質問者も俺と同じ状況で困って「情けない・至らない」という意味ではないかと考えたようです。
ちょっと俺の考えとは違いますが、そもそもWeb辞書にも載っていないので各々の考えが異なるのは仕方がないですね。
質問の回答は1つあったんですが……どうも違うような気が……。

考えや態度を最後まで押し通せないことだと思います。
またかかりきりになれないことだと思います。
「たてきる」の反対だと思います。

うーん、「たてきる」ってラ行五段活用だと思うんですよね。
仮に「たてきない」が「たて-きる」とした場合、「たてきる」の未然形は「たてきない」になるはず。「たてきない」になるには「たて-着ない」でなければ変。

そこで考えてみた。
なら「たて-着ない」という言葉があるんじゃないか?
「たて」という言葉を調べた結果、当てはまりそうなのは「縦」と変換した場合の

[3] (比喩的に)同僚との関係ではなく、上司と部下との関係。

これくらいしかないです。
けど、これに「着る」を当てはめるのは無理がある気がします。
というか、これって動詞じゃなくて形容詞なんじゃ?
「たて-きる」じゃなくて「たてきない」という単語で「とんでもない」みたいなもの。

ちなみに Google で検索すると、以下の結果が出ました。

少ない。たった41件(2009-05-26時点)。そのうち関係のありそうなのは半分くらいですかね。
更にこの本に関連のなさそうなのをピックアップすると、片手で数えられるくらいになりました。

茶栗鼠の映画評論では、主に書き手に対する修飾語としてたびたび使われています。

(2ch化粧板)【パックなしでは】美肌一族 Part2【生きられない】の >>289 では「日本語でおk」みたいに言われていました。

……分からん。Googleブック検索もしてみたけど出てこない。
Yahoo! でも msn でも検索したけどダメでした。

ここまでの結果、行き着いた俺の考えは「もしかして方言なんじゃね?」でした。
仮に古語だったりしても、ここまで使われていないのは不思議だから。
でも方言にしても、もう少し検索にひっかかりそうなもんですけどなあ。

以上を踏まえての考え

とりあえず、文脈からの予測に調べた結果を加味して

  • とんでもない
  • 至らない
  • どうしようもない

こういう意味なんじゃないかと判断しました。


Amazon のレビューや書籍レビューサイト、ブログでの感想などを見ても結構な割合でスルーされているところを見ると「実は一般的な言葉なんじゃ」という思いが湧いてきます。
でも先に書いたように、それならもうちょっと検索結果に出てもいいはず。
一応「どういう意味だろう」と書いている方は何名か見かけました。

それにしても気になって仕方ない……。
どなたか知っている方いましたら教えてください。お願いします。

Review › ひだり

角川ホラー文庫から出ている倉阪鬼一郎の「ひだり」レビューです。
この小説は「うしろ」「すきま」と同じシリーズ物。
と言っても直接のつながりがあるわけでもなく、この2作の登場人物(キム・イェニョンと聖域修復師の人)が脇役として出てくるのみ。
一応、2人とも過去作の記憶はあるようです。

困ったことに、この作品に関しては特に感想がないです……。
というか、このシリーズっていまいち面白さが分からないんですよねえ。
大雑把に言うと、超自然的な悪があって、神聖な場所が穢されて災いが起こる、というのがシリーズを通じての展開。
主人公はそれに巻き込まれる役。
今回は主人公死んじゃったけど。

ホラーとしては王道な展開かもしれないけど、何かもやもやする。
そういえば『ブランク―空白に棲むもの』を読んだときにも思ったような……。
こっちは一応ミステリですけど。

何か、最近の倉阪鬼一郎の作品に勢いが感じられないような気がする。
前からこんな感じだったっけなあ。
出てくるネタとかワードはいつも自分好みなんですけど、どうも盛り上がらない。

でも、いつかまた交響曲シリーズをやってくれるかも……と思うと、買い続けずにはいられない。
「The End」も「汝らその総ての悪を」も楽しめました。読んでてわくわくしましたよ、本当に。
倉阪鬼一郎のオススメ作品を訊かれたら、この2冊を薦めますね、間違いなく。
まあ「THE END」を友人に読ませたら「意味分かんね」とだけ言われたりしましたけどねw

秋葉原の「炭火珈琲庵 古炉奈」が閉店するそうです

今日はすごく残念なニュースを見てしまった……。
タイトルにも書いてますが、古炉奈が来月で閉店するそうです。

午前中に見つけて、何だか仕事が上の空になってしまいました。
あの美味しいアイスコーヒーにも、初めて飲み物で感動した水立珈琲にも、素晴らしい接客をしてくれたホールのおじさんにも、もう会えなくなるのか……。

mixi の古炉奈コミュにも、お店の人から聞いたという話があったので、本当みたい。

古炉奈は秋葉原では数少ない落ち着ける空間でした。
本当に残念。

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Review › 臓物大展覧会

先日買ってきた角川ホラー文庫「臓物大展覧会」を読みました。著者は小林泰三。
ネタバレがあると思うので、気になる人はスルー推奨。

全体としての構成は、いつもの小林泰三の短編集といったところでした。
プロローグとエピローグを除いて9編。
せっかくの短編集なので、1つずつ感想を書いていきます。

プロローグ

一人称は「あなた」。
これから始まるよ的なもので、本編とは特に関係ないです。
臓物にもそれぞれ物語があり、臓物を自分の身と同化させることによってその物語を聞け、という話。
これに関しては裏表紙の紹介文が素晴らしかったので引用しておきます。

彷徨い人が、うらぶれた町で見つけた「臓物大展覧会」という看板。興味本位で中に入ると、そこには数百もある肉らしき塊が…。彷徨い人が関係者らしき人物に訊いてみると、展示されている臓物は一つ一つ己の物語を持っているという。彷徨い人はこの怪しげな「臓物の物語」をきこうとするが…。

透明女

殺人シーンがいつもに増して凄惨。もとからグロ描写の上手い作家さんですが、この話はずいぶんと気合が入っている印象。

「透明ではない体の部位を透明なものと入れ替えることで透明女になれる」
「ウロボロスのように自分で自分の体を全て食べてしまえば透明女になれる」
この発想はちょっと意外でした。いつもみたいにSF調の展開だと思っていたから。

いじめの話からの展開は予想の範囲内でしたが、持って行きかたがよかったと思います。

「何してるの? なぜ謝るの? 何かの冗談なの?」

この台詞でミスリードさせられかけましたw

終わり方は個人的には好き。
あと、刑事がめちゃくちゃウザかったw 警部はいい人。

ホロ

小林泰三お得意の2人の会話による展開。そしてこれまたお得意の論理的な台詞で進む話。
どちらかと言えば SF な短編。

タイトルの「ホロ」は「幽霊」のルビ。

死んだ人間を、蓄積された外部からの観察データによって共有の幻覚として存在させる。観察は脳にチップを埋め込んだ人間によって行われる。
幻覚はチップを埋め込んでいる人間に共有されるが、ほぼ全ての人間が処置を行っているため、ほとんどの人が認識可能。
データはチップによってネットに蓄積される。

超簡単に世界観を説明するとこんな感じですかね。
ホロシステムの矛盾に気づく主人公と、その聞き役でストーリーが進みます。
まあ、よくある仮想現実系の話。微妙にバトルありw

主人公の話をおかしいと感じられる人には面白いかもしれません。
俺は読み終わるまで分からなかったです。
この手の話は好きなんですが、読むのが苦手。

少女、あるいは自動人形

人間と見分けがつかないほど精巧なオートマータを見抜けるか、という試験に招待された主人公の話。
ストーリーは主人公の思い出話として語られます。

テーマはあれかな、「ロボットは人間よりも上の存在か」というやつかな。
この話ではオートマータですけど。

「毎回決まった反応をしないのが、心の証拠ですと! だったら、心というものは単なる壊れた歯車にすぎないということになるではないですか。(後略)」

「人獣細工」の自動人形版な話でした。
ただ、今回は特に大きく盛り上がる場所もなく、二段落ちの内容も普通な感じ。
まあ、そういうもんだと思って読めば楽しいんじゃないでしょうか。

攫われて

この本では一番好きかも。密室トリックもどきと記憶系ネタ。
死んでるはずの人が崖下から戻ってきたのはホラー小説ならではw
ミステリ的にはアレな展開かもしれませんけどw

誘拐犯と主人公の残虐性の相似がおもしろいです。
逃がさないために殴り、脚の腱をナイフで切る殺人犯。
自分たち2人が生き残るために、友人を(生きているかどうか確認せずに)裸に剥いて崖から突き落とし、犯人の腹を刺す主人公。

オチはわりとありがちな感じですが、個人的には好きな展開。
子供が仕掛けたトリックを犯人が必死の推理で解き明かす場所が見所だった。
そういうのもあって何だかコメディ風。

釣り人

どちらかというと SF な気がします。
ショートショートと言ってもいいほど短い小説。

簡単に言うと UFO とか宇宙人とかが出てくる話。
UFO に攫われて色々された記憶を消されたけど夢を記録して思い出すという、UFO 好きなら知っている展開で進んでいく。

で、思い出した内容についてですが。

「キャトルミューティレイションだ!」

この一文はずるいよ。笑っちゃうよ。

さくっと読めていい物語だと思いますよ。

SRP

ウルトラマン系の特撮、陰陽道系のオカルト、宇宙・未来系の SF を一緒にしたような話。
すごく漫画的な印象。
「ΑΩ」のときにも思いましたが、作者はウルトラマンが好きなのかな?

内容も「ΑΩ」的。真面目に読まないほうがいい気がします。というより、難しく考えずに読むのがいいんじゃないかと思います。
個人的にはあまり好きじゃないです……。

十番星

何だか既読感があるなあと思っていたら、アンソロジー「十の恐怖」で読んだことがありました。

なぜか分からないけど、読んでていい気分しないですね、この話は。
好きな作家さんである小林泰三の小説の中でも、何回も読みたくないものの一つです。

造られしもの

「少女、あるいは自動人形」と共通するテーマがありますが、こちらは完全にロボットと人間の関係のみ。
ロボット三原則が機能しているという前提があってこそのストーリー展開。

ネタバレですが、

待てよ。男は思った。なぜ医師ロボットは俺の死を見過ごそうとしているのだろう? まさか……。

「そして、また次の人間を設計し、製造する。われわれロボットのために」

これに尽きますね。

なんとなく「綺麗な子」を思い出しました。

悪魔の不在証明

津山三十人殺し的な。
タイトル通り、悪魔の証明を使った話。

キリスト教の教えを広めようとする青年に、主人公が論戦をしかける。
「神がいることを証明してみせろ」と。
対して、青年は
「では、いないことを証明してください」

論戦が多いので内容はそんなに多くないです。ストーリーとしては薄いという印象を受けました。
好きですけどね、こういう話。

エピローグ

9つの臓物を飲み込んだのなら、次はお前が物語を語るのだ。
とかいう内容。
「ここで本の中身は終わりですよ」ということ。


全体としてはどうもパワー不足な気がします。好みの問題だとも思いますが。
デビューが強烈だったから、無意識にそれを求めているのかもしれないですね。
同時期デビューの瀬名秀明の作品をだんだん読まなくなっていったのはそういう理由がありました。

ただ「透明女」「攫われて」といった強く印象に残るものもあるので、まだまだ期待しています。
俺はこの作家さんは短編~中編でこそ輝くと思っているので、異形コレクションにももっと参加してほしいです。
あのシリーズはいいものです。